18歳で父になった。
「俺はできるから…。
ちゃんと頑張るから大丈夫大丈夫」
抵抗するのを辞めた紫苑くんは、私に抱きしめられたままそう呟く。
そんな呪文のように繰り返す言葉がどれだけ辛いかを表しているようで私の目から涙が止まらない。
そしてきっとそうやって辛い時もいつも乗り越えてきたのかもしれない。
「ごめん、恋雪にも迷惑かけてる」
「大丈夫だよ」
ゆっくりと、なだめるように紫苑くんの背中をポンポンと叩くとぎゅっと紫苑くんからも抱きしめられた。
「ごめんな」
その言葉を最後に、紫苑くんは泣きながら抱きついて眠ってしまった。
沢山泣いた紫苑くんはなんだか小さな子供のようで
たくさん辛くてきついんだろうけど
不謹慎にも可愛いなんて思ってしまった。
「寝た?」
いつから見ていたのか、紫苑くんが眠ってから太一くんが顔を出して笑う。
それに頷いて答えると
"運ぼうか"と言って光司くんを呼んでベッドまで運んだ。
「頑張ろうな紫苑」
光司くんのその言葉に、みんな頷いて支えてあげようと約束したのだった。