18歳で父になった。




「柚子葉ちゃんももう2歳か、早いね〜
いい子に成長してるよ」



「そうか?最近おてんばで困るよ」



「紫苑くんに似たんだね?」



「失礼な〜」






ケーキを買いに行く途中、そんな会話を恋雪としながら笑い合う。


時には怒り、時には甘やかして、難しくて苦戦することばかりだがなんとか2年育ててこれたのはやっぱり助けてくれているみんなのおかげだ。



おかげさまで柚子葉は元気いっぱいの人見知りもほとんどしない女の子に育っていっている。






「紫苑くんも忙しい中頑張ってて本当にすごいよ。
ただでさえ医学生なんて忙しいのに…」






恋雪はそう言ってくれるけど、それは自分が選んだ道だから苦痛だと感じたことは無い。



むしろまだ学生の方が楽だったかもしれないなんて思っている。



そりゃ最初は不安ばかりだったけど、少しずつ柚子葉のいる生活に慣れて楽しめるようになっていた。






「紫苑くん、私ずっと思ってたんだけど本当にもう柚子葉ちゃんにママ作る気ないの?」






恋雪は突然そんなことを聞いてきた。



柚子葉にママ。
それはすなわち俺が誰かとまた結婚するということだ。



これは何度か光司や太一にも聞かれ続けている事だがやっぱり俺の中では答えはひとつ。






「ない。」



「ど、どうして?」



「幸せにできない」






また柚子と同じ思いさせるのは嫌だ。
1度も一生を添い遂げれなかった俺が誰かとまた笑い合うなんて考えられない。


なにより柚子に申し訳がない。






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