18歳で父になった。
もしかしたら、柚子葉にとっては母親が必要になるかもしれない。
女の子だし思春期の悩みも言い難いだろう。
それでも俺は、柚子と最後まで一緒にいることが出来なかった人間だから。
きっと誰かを幸せにすることは出来ない。絶対。
柚子も俺は恋愛向いてないと言ってたしな。
そんな俺の言葉を聞くと、悲しそうに眉を下げる恋雪。
「私は、紫苑くんのこと…」
恋雪の空気が変わり、次の言葉を言おうとした瞬間ーーー
「紫苑くん」
なんて、耳馴染みの声が聞こえてきた。
振り向くとやっぱり柚子で
いつものようにニッコリと微笑んでいる。
「なに?やっぱりその女と再婚する気?」
柚子は、そう言うと険しい顔になってしまう。
「私を捨てたのに幸せになるとかないよね?」
「うん、違うよ」
「そうだよね、恋愛向いてないし、下手に恋愛なんてしたらその子がまた傷つくよ」
「うん、俺はもうするつもりないから」
「そう、そこは中途半端にならないようにね?
中途半端人間さん」
柚子の発する言葉にまた少し傷つく自分がいた。
わかってる。
わかってる事だが、俺が本当にダメなやつだと再認識させられるのはやっぱり辛い。
俺が思わず俯くと、柚子が俺の胸ぐらを掴んできた。
「わかってんの?
あなた、私を捨てたんだよ?」
「……」
今日はやたらとあたりが強い。
いつもは割と普通に話してくれるのに。
それも全部俺のせいなのだが…。
そんな俺が何も言えずにいると
恋雪が俺の胸ぐらを掴む柚子の手を叩いた。