歌い手、なりませんか?
学園祭は、I学園がいつも以上に盛り上がる。様々な国の文化が現れ、奏葉はこの日が一番大好きだ。
奏葉は今、体育館のステージ裏にいる。チラリと舞台を除けばたくさんのお客さんの姿があった。
「いよいよ本番か……」
奏葉は呼吸を整える。ポンとその肩をクララが触れる。
「奏葉が歌うって聞いた時、とっても驚きました。今日は楽しみましょう」
「う、うん!」
今日のために、奏葉たちは必死で曲を決めて練習をしてきた。リアムたちも優しく微笑む。
「失敗してもいい。俺たちでお客さんを楽しませよう」
「おお〜!!」
六人で円陣を組み、ステージに立つ。多くの拍手と視線に、奏葉の体が震えた。互いに顔を見合わせ、「よし、歌うぞ〜!」とリアムが言う。それを合図に、Mr.musicが流れ出した。それを全員で歌う。
大勢の前で歌うのは、奏葉は久しぶりだ。歌うまでは緊張で震えていた。しかし、今は違う。楽しさがこの胸にあふれている。