歌い手、なりませんか?
奏葉の歌を、リアムたちも観客も一生懸命聴いてくれた。それが嬉しくて、奏葉は泣きそうになる。

最後に全員でblessingを歌い、学園祭のミニライブは終了した。



学園祭が終わり、奏葉は静かになった体育館を見つめる。ここで今日、奏葉は歌ったのだ。

「奏葉、お疲れ様」

リアムに声をかけられ、奏葉は振り向く。リアムは笑ってくれていた。

「リアムもお疲れ様」

奏葉がそう言うと、リアムは「あのさ、言いたいことがあるんだけど……」と真っ赤な顔をしながら言った。

「俺、最初は奏葉の歌声に惚れたって言ったじゃん」

「うん」

「あの時は声だけだったけど、今は違うから」

「えっ……」

奏葉は不意に優しく抱きしめられる。そして、その耳元でリアムが囁いた。

「今は、奏葉の全部に惚れてる。好きです!俺と付き合ってください」

奏葉の中で、メロディーがあふれ出す。奏葉は小さく口ずさんだ。


君の声一つで
こんなにも変われるって
やっぱり君なんだ
君じゃなきゃダメなんだ

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