歌い手、なりませんか？
気がつけば、声に出して歌っていた。一人きりの教室に声が響く。奏葉はそのまま歌い続けた。

そして歌い終わった頃、ガラリと教室のドアが開く。クララが来たのだと思っていた奏葉は、ドアの方を見て顔を真っ青にした。

目の前にいたのは、クララではなくオーストラリア出身のクラスメートであるリアム・テイラーだった。瞳を潤ませ、拍手をしている。

「リアム？」

奏葉が聴かれていたのかと体を震わせていると、「俺、君の声に惚れた！」とリアムは奏葉の両手を包む。男性に慣れていない奏葉はびくりと体を震わせる。

「あのさ、俺と何人かで歌い手グループを作ろうって計画してるんだけど、奏葉も入ってよ！」

「ええっ！？」

奏葉はポカンと口を開け、目の前で必死にお願いをするリアムを見つめた。



それから、奏葉はリアムに連れられて音楽室へと連れて来られた。数人の人がいる。

「奏葉！」

「クララ、どうしてここに！！」

なぜか音楽室にはクララまでいた。奏葉は訳がわからずリアムを見つめた。
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