歌い手、なりませんか?
次にアジア人の女の子が立ち上がる。

「ホァン・フェンジュンです!台湾出身!歌い手名は未海だよ。よろしく」

そして最後に、背の高い男の子が立ち上がった。

「ダグラス・ガルシア。ブラジル出身で歌い手名はりゅう。作詞作曲を担当しようと思ってる。よろしく」

自分の周りにこんなに歌い手がいたことに、奏葉は言葉が出せない。クララから歌い手を教えてもらい、奏葉は歌い手の歌ってみたを聴くようになった。リアムたちの歌ってみたも何度か聴いたことがある。

「と言うわけで、奏葉!よろしくな!」

リアムが笑って手を差し出す。奏葉はみんなをチラリと見た。フェンジュンたちはニコニコ笑っている。だが、クララは心配げな顔をしていた。

「リアム、ごめんなさい。私はみんなと違って歌は上手じゃないから……」

奏葉は出しかけた手を引っ込める。フェンジュンたちは驚いた顔をした。クララが口を開く。

「奏葉は、人前で歌うことは得意ではないのです。無理強いさせないでください」
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