My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
部屋の中は酷く殺風景だった。背の高いクローゼットとベッド以外ほとんど物が置かれていない。
部屋の主はしばらく帰ってきていないように思えた。
そんな中ひとつだけ、窓際に下で見たものと同じ木で出来た可愛らしい人形がぽつんと飾られていた。
(なんか、寂しそう)
「間違いねぇな」
「え?」
ラグの声に視線を移すと、丁度ブゥが彼のポケットから飛び出るところだった。
「あぁ」
セリーンが神妙な顏で頷き、そして続けた。
「変装していて正解だったな」
ブゥが相棒の頭に着地するのを見ながら、私はごくりと唾を呑み込んだ。