My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
11.エルネストとセイレーン
「やっぱりこの町、海賊と何か関係あるのかな」
確かにリディアンちゃんの態度はおかしかった。私でもわかるくらいには。
「何もないってわりに酒の種類はやたら豊富だったしな」
ラグがそう言いながらベッドに腰かけ、セリーンが後を続ける。
「この部屋の主は漁師だと言っていたが、ひょっとしたら海賊かもしれん」
「さっきの、あの海賊船に乗ってたかも?」
「可能性は十分にある」
「じゃあ、やっぱりアジトはこの近くにあるのかな」
「おそらくな」
そう答えながらセリーンは真っ暗な窓の外を見た。
「どうしよっか……。リディアンちゃんは隠そうとしてるんだよね。きっと」
だとしたら、私たちを家に泊めてくれたのは罪悪感からなのだろうか。それとも――。