My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「セイレーンの歌か。それをカノンが歌ったら何が起きるのだろうな」
「え?」
見上げるとセリーンは首を傾げ続けた。
「あの男が作った歌だ。何が起きるか興味ないか?」
興味はあるし歌いたい気持ちもあるけれど。
私が答えるよりも早くラグが本をぱたりと閉じてしまった。
「やめとけよ、こんなところで。何が起こるかわかったもんじゃねぇ」
「う、うん」
……正直、少し怖かった。
ふいに思い出したのはソレムニス宮殿で見たあの笛の楽譜だ。その中に恐ろしいタイトルの曲があった。
(確か“死を呼ぶもの”)
ぞくりと鳥肌が立った、そのときだ。
「あ~、くそっ!」
急にラグがそう毒づきながら立ち上がってびっくりする。