My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
眼鏡と帽子を外し纏めていた髪を下ろして横になる。
数日振りの揺れないベッドはやっぱり心地よくて、すぐにでも夢の中に入れそうだ。
ラグはブゥを頭に乗せたまま真剣な眼差しで本を読んでいて、その横顔をじっと見ていたらなぜだかふいに声を掛けたくなった。
「ねぇ、ラグ」
「あ?」
視線は落としたまま、それでも短く返事が返って来て私はそのまま続ける。
「ずっと気になってたんだけど。ラグって、その呪いどうやってエルネストさんから掛けられたの?」
本から離れた視線が私を見つめた。
「エルネストさんと直接会ったわけじゃないんでしょ?」
――これまでずっと彼の逆鱗に触れてしまいそうで訊けなかったけれど、今なら大丈夫な気がしたのだ。