My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

 彼の今も隠されている額にはエルネストさんと同じ紋様が刻まれている。彼はエルネストさんに付けられた印だと言っていたけれど。

「そういえば聞いたことがなかったな」

 セリーンも興味深そうに私の横で身体を起こした。
 ラグはやっぱり良い顔はしなかったけれど、ふぅと小さくとため息をついてからまた本に視線を落とし、ゆっくりと口を開いた。

「いつものあの姿で現れた奴に、ある場所へ行けと言われて……奴の言うとおりにしたら、この呪いを受けていた」

 驚くほどに穏やかな声だった。
 そしてラグがエルネストさんの言う通りに動いたということにも驚いた。

(でも、そっか、その時にはまさか呪いをかけられるなんて思ってなかったわけだもんね)

 エルネストさんのあの綺麗な笑顔を信用して、彼の指示通りに動いたとしてもおかしくはない。――でも。

「そんで、それを解きたかったら銀のセイレーンを連れて会いに来いとよ」

 そこで彼は口を噤んだ。

 ある場所ってどんなところだったの?
 どんなことを言われたの?
 なんで、言われた通りにしたの……?

 訊きたいことはまだたくさんあったけれど。
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