My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
12.兄妹
「なんだ」
ギシリとベッドが揺れてセリーンが起き上がるのがわかった。
どのくらい寝られたのだろう。気だるい身体をなんとか起き上がらせて窓の方を見るがまだ夜は明けていないようだ。灯も既に消えていたが、月明かりか星明かりかのお陰で辛うじて部屋の中の様子はわかる。
「リディアンちゃん、何かあったのかな」
「変装しとけ」
声の方に視線を向けるとラグがドアに耳を着け外の様子を伺っていた。
その声音から警戒の色を察して私は頷きすぐに髪をまとめ枕元に置いておいた帽子と眼鏡を着ける。
「ラグは?」
小さくならないの? と続けようとして階段を上がってくる複数の足音に気がついた。それと一緒にリディアンちゃんの焦ったような大声。