My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「――え? 誰、あなた」
「頭、こいつ! 俺達をコケにしやがった野郎だ!」
仲間の一人がラグを指差しそう怒鳴った。顏はおぼろげだがおそらくは船でラグに伸された男の一人だ。
それを聞いて、グリスノートがにぃっと口端を上げる。
「やっぱりてめぇらか。変装なんて姑息なマネしやがって。良く見りゃあ、それも、それも、それも、全部俺の変装道具じゃねぇか!」
(そりゃバレるよね~~)
思いっきり指差された私はセリーンの後ろで首を竦める。
リディアンちゃんは困惑した表情で私たちを交互に見つめている。
頬をぴくぴくと引きつらせたグリスノートが唸るような低い声で続けた。
「海賊からお宝を盗むなんざ、いい度胸してるじゃねぇか……」