My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
その悲痛とも言える叫びに、思わずぽかんとしてしまう。
――グレイスがブゥに……?
よく見れば2人の仲間もそんな頭の後ろでほとほと困ったような顔だ。
それを知ってか知らずかグリスノートの嘆きは更に続く。
「お陰であれからグレイスは全く歌ってくれなくなっちまった……。この俺が頼んでもだ! グレイスの歌声が聴けないなんて俺には耐えられねぇ……。だから、さっさとあのモンスターを出しやがれ!」
「いい加減にしてよ兄貴!」
もう耐えられないというふうに怒鳴ったのはリディアンちゃんだった。
「みんな困ってるでしょ!? 見てわからないの? 全く、恥ずかしいったらないわ!」
「うるせぇ! お前は黙ってろ!!」
「なんですって!?」