My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
その言い合いを聞いてリディアンちゃんのお兄さんがグリスノートだということはわかったけれど、今はそのことに驚いている暇もない。
仲間の2人も今度は酷く焦った様子でそんな兄妹の間に入りまぁまぁと宥め役に回っている。
だがリディアンちゃんの怒りは収まらなかった。
「久しぶりに帰ってきたと思ったらひとり怒鳴って喚いて、そんなんだからいつまでたってもオルタードに認めてもらえないのよ!」
「んだと!?」
「オルタード!?」
このとき、グリスノートと同時に大声を出したのは私の目の前にいる、セリーンだった。
「セリーン?」
私が小さく声を掛けても彼女の耳には入らないようだった。
びっくりした顔でこちらを振り向いているリディアンちゃんに、セリーンは震える声で訊いた。
「オルタードが、生きているのか……?」