My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「オルタードを知っているの?」
リディアンちゃんが訊くと、セリーンは静かに頭を下げた。
「頼む。オルタードが本当に生きているのなら、会わせて欲しい」
その聞いたことのない切な声に私も驚いていた。
セリーンがそこまでして会いたいという“オルタード”。一体どんな人物なのだろう。
「そういや、あんたもエクロッグの生き残りだとか言ってたな」
グリスノートのいくらか怒気の抜けた声にリディアンちゃんが目を見開く。
「エクロッグの……?」
セリーンが顔を上げる。
「あぁ。オルタードは今どこに」
「それより先にモンスターだ」
グリスノートがイライラした様子で遮るとセリーンは頷いた。
「そうだったな。……危害を加えたりはしないだろうな?」
「当たり前だ! そんなことしたらグレイスの歌声が永遠に聴けなくなっちまうかもしれねぇだろうが!」