My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
それを聞いてセリーンはラグに目配せをした。
ラグは短く息をついてからポケットを開く。
「ぶ?」
様子を伺うようにそこからひょっこり顔を出したブゥを見て、リディアンちゃんがまた目を丸くした。
「その子が、狂暴なモンスター?」
「出やがったな……」
そんなブゥを睨みつけ低く唸るグリスノート。その形相を見て本当に何もしないか心配になる。
ブゥ自身も警戒しているのだろう、それ以上は出て来ようとしない。
「死ぬほど癪だが、今すぐにアジトに来てもらうぜ」
「アジトにグレイスがいるのか?」
海賊のアジトに行きたがっていたセリーンがそう訊くと、グリスノートは彼女に視線を戻した。
「あぁ。長もそこにいるぜ」
グリスノートの言葉にセリーンが息を呑んだ。
「まさか、」
「長、オルタードは海賊団ブルーの前の頭だ」