My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
――。
一瞬、何を言われたのかわからなくて、一拍置いてから漸く私は声を上げた。
「え!?」
「何言ってんの兄貴!?」
ほぼ同時、リディが怒声を上げた。
「あの子はカノンたちの」
「だから俺があいつの面倒も見てやるって言ってんだ! グレイスの幸せのためにな!」
私は今度こそ勢いよくラグの方を振り返る。
「ラグ!」
「……」
ラグは何も言わない。やっぱりグレイスと並んで止まり木にいるブゥの方をただ見つめているだけだ。
「ねぇ!」
じれったくてその腕を掴むと、彼は驚いた様子で私を見下ろした。
「ブゥを貰うって言われてるんだよ! いいの!?」
いいわけないよね? そう口の内で続ける。
なのに、ラグはもう一度ブゥの方を見つめゆっくりと口を開いた。
「あいつが、あの鳥といたいのならいいんじゃねぇか」
「!?」
その言葉に私は目を見開いた。