My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
海賊団ブルーの元頭であり、今は“長”と呼ばれている人物。そして。
(セリーンが会いたがっていた人)
彼女の様子をそっと伺えば、やはりその顔が強張っているように思えた。
リディに寄り添われながら、彼が私たちの前にやってくる。そのときに彼の右脚が義足だということに気が付いた。
「いやなに、グリスノートの奴が漸く嫁さん連れてきたと聞いてな」
(嫁さん?)
後ろでグリスノートが小さく舌打ちをするのが聞こえた。
「どれがその……」
私たちをぐるりと見回し、最後セリーンに視線を向けた彼の右目が大きく見開かれていく。
ふっとセリーンが微笑んだ。
「久しいな、オルタード。生きていてくれて嬉しいぞ」
そうセリーンが優しく声を掛けると、オルタードの唇が大きく震えた。
「ま、まさか、その赤毛は……セリーヌお嬢様!?」