My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
15.セリーンの過去
――セリーヌ、お嬢様……!?
思わずセリーンを見上げると目が合った彼女は照れくさそうに苦笑した。
「そう呼ばれていた頃もあってな」
「オルタード!?」
ガタンっという大きな音とリディの悲鳴に驚いて視線を戻すと、オルタードがその場に膝をつき床に着くほど深く頭を下げていた。
リディが慌ててしゃがみ込み手を差し伸べようとするが。
「申し訳ありません! セリーヌお嬢様!」
外にまで響いているのではないかと思う程の大音量にリディはその手を引っ込めた。
「私は! 誰一人としてお守りすることが出来ませんでした! 私だけがこうしてのうのうと生き恥を晒しておりました! 私は、私は……っ」
全身を震わせ声を詰まらすオルタード。
おろおろとそんな彼とセリーンとを交互に見つめるリディ。見ればグリスノートも呆気に取られている様子だ。