My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「グリスノート、そういやおめぇ、嫁さんてまさかセリーヌお嬢様のことじゃねぇだろうな」
一瞬呆けた顔をしたグリスノートだったが。
「ち、ちげぇよ!」
慌てたように否定した。
(また“嫁さん”……)
こっそり首を傾げているとオルタードさんは安堵するように息を吐いた。
「ならいいが、おめぇが逆立ちしたってなぁセリーヌお嬢様には釣り合わねぇんだよ」
「だからもうお嬢様ではないと」
セリーンがそう小さく溜息を漏らすと同時、グリスノートがそんな彼女をびしっと指差し声を荒げた。
「そのお嬢様が、てめぇに会わせてくれって言うからここまで連れてきてやったんだ、有難く思えよな!」
「……おめぇ、まさかお嬢様に酷ぇ扱いしたんじゃねぇだろうな」