My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
その底冷えするような声音にグリスノートの顔が引きつる。
拘束されて船底近くの暗い部屋に放り込まれたことを思い出していると、セリーンがその空気を変えるように声を上げた。
「それよりオルタード、嫁とはなんの話だ。先ほどもそんなことを言っていたが」
セリーンも気になっていたようだ。
するとオルタードさんはグリスノートから視線を外し答えた。
「今こいつ、嫁探ししてるんですよ」
(嫁探し!?)
まさかの意外過ぎる答えに思わず変な声が出そうになってしまった。
セリーンも驚いた様子でグリスノートの方を見た。
「嫁探し……。ひょっとして、あのときの頼みというのは」
セリーンがそう言いかけたところでグリスノートは大きく舌打ちをした。
「俺は別に嫁探ししてるわけじゃねぇんだよ! 俺は、さっさとここを出たいだけだ!」