My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
セリーンが言うとオルタードさんは苦笑し、もう一度頭を振った。
「お嬢様にお話しするような内容では」
「そうか……」
少しの沈黙の後、ラグが小さく咳ばらいをした。
「絵のことを訊くんじゃないのか」
「あぁ、そうだったな」
セリーンが思い出したようにこちらを振り向いた。
――そうだ。私もすっかり忘れていた。
海賊の長に会えたら、エルネストさんが描かれていたという絵画のことを訊くつもりだったのだ。
その長、オルタードさんがセリーンの家の執事をしていたことがわかったのだ。これほど確かな情報はない。
セリーンはオルタードさんに向き直り、訊ねた。
「当時を思い出させるようで悪いのだが、私の家はあの後どうなったか知らないか」
「お屋敷ですか? 全て、燃えてしまったはずですが」
それを聞いてラグが肩を落とす。覚悟はしていたけれど私も小さく息を吐いた。