My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「なら私も行く!」

 この状況でひとりで待っているなんて逆に怖い。

 慌ててベッドから下りセリーンと一緒に船室を出た。
 廊下の窓に視線をやるもやはり外は真っ暗。月も出ていないみたいだ。

 隣のラグの部屋の前を通り過ぎながら声を掛けようか少し迷ったが、聞き間違えだったら悪いのでそのままセリーンについていく。
 昼間とは違い人気の無い食堂を通ってドキドキしながら甲板に出る階段を上って行く。

 セリーンが扉を開けると途端に湿った海風が乱暴に頬を撫ぜた。
 やはり空に月は無いようで星だけがちらちらとまたたいていた。
 昼間あんなに太陽を反射し輝いていた海も今はただ闇が広がるばかりで寒くもないのにぶるりと震えが走る。
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