My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
セリーンが続ける。
「そうか……。いや、父のコレクションのことで気になっていることがあってな」
「旦那様のですか?」
「あぁ。覚えてはいないか。金髪の若い男が描かれた絵なんだが」
「金髪の……あぁ。もしやエルネストの肖像画のことですか」
――!?
私たちは一斉に息を呑む。
「間違いなく、その名前なんだな!?」
ラグが思わずといった様子で身を乗り出し声を上げた。オルタードさんはそんな彼を見上げ、不審そうに眉を寄せる。
それに気が付きセリーンが間に入った。
「あぁ、すまない。紹介をしていなかったな。彼らは旅の仲間でな。そのエルネストという男を捜しているんだ」
「捜して……?」
彼の瞳が私たちに移り、そして更に怪訝そうな顔をした。
「私の記憶が確かなら、そのエルネストという男は大昔に存在していたとされる伝説上の人物です」
――伝説上の……?
目を見開く私たちの前で、オルタードさんは続けた。
「確か、銀のセイレーンと対をなす “金のセイレーン” なのだと、旦那様が話しておりました」