My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
伝説上の人物なんかじゃない。
確かに私たちは彼に会っている。いつも幻のような姿だけれど、確かにこの目で見て会話をしている。
あの綺麗な微笑みを私たちは知っている。
銀のセイレーンも伝説とは大分違うけれど一応こうして存在しているのだ。金のセイレーンだって……。
(でも、対をなすってどういうこと?)
「セイレーンについてだったら、兄貴に訊くのが一番だと思うわ」
リディが声を上げた。
「そこにも何冊か本があるでしょ? 歌とかセイレーンとか、とにかく一人で色々と調べているみたいだから」
その言い方には少々刺があるように聞こえたけれど、私たちは顔を見合せ頷いた。