My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「だが、対をなすとはどういうことだろうな」
セリーンが難しい顔で言うのを聞いて私も頷く。
「それ私も気になった。きっと、単に色の意味じゃないよね」
つい先日までいたクレドヴァロール王国でも金色には特別な意味があった。
きっと金のセイレーンにも銀のセイレーンと同じか、ひょっとしたらそれ以上に特別な意味があるのかもしれない。
と、眉間にたくさんの皴を寄せたラグが口を開いた。
「銀のセイレーンが世界を破滅させる存在。なら、金のセイレーンは世界を」
だがそのとき、バンっと勢いよく船長室の扉が開かれた。
「てめぇら! なに勝手に俺の本読んでんだよ!」
入ってきたのはこの部屋の主であるグリスノートだ。その肩には先ほどと同じようにグレイスが乗っていた。