My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「オルタードの様子はどうだ」

 でもセリーンが訊くと、リディはすぐに笑顔を見せた。

「大丈夫。貴方に会えてちょっと興奮しちゃったみたい。今は落ち着いて横になっているわ」

 それを聞いてほっとする。セリーンも安堵した様子だ。

「あんなオルタード初めて見た。よっぽど嬉しかったのね。なのに兄貴ってば……」

 再び大きな溜息をついたリディを見て私たちは顔を見合わせる。そして。

「先ほどの嫁探しの話だが、詳しく訊かせてもらえないか」

 セリーンがそう切り出すと、リディは船縁に手をついて岩山に並ぶ家々を見上げた。

「兄貴には夢があってね。その夢のためにずっとこのイディルを出たがっていて」

 心なしか寂しそうな目をしてリディは続ける。
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