My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「兄貴がブルーの頭になった日にオルタードが言ったの。嫁をもらって子供が出来たら出て行ってもいいって」
「それはまた随分な条件だな」
セリーンが眉を寄せ言うとリディは勢い良くこちらを振り向いた。
「でしょう? 子供なんて出来ちゃったら離れたくなくなっちゃうに決まっているのに。それがわかっていて言ってるのよ。――でも、兄貴の夢ってのもまた馬鹿げていてね」
(夢……?)
首を傾げていると、リディは私たちから視線を外し恥ずかしがるように小声で言った。
「セイレーンの秘境を探す旅に出たいんですって」
「あぁ!」
思わずそんな声が出ていた。セリーンも続いて頷く。
「そういえば昨日そんなことを言っていたな」