My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

 しかしセリーンは難しい顔だ。

「セリーン?」

 確かに先ほどのオルタードさんの態度を見る限りセリーンの話なら聞いてくれそうな気がするけれど。
 と、彼女が言いにくそうに口を開いた。

「いや、昔のオルタードはとにかく厳しくてな。実を言うと私は何かと口煩い奴のことが少し苦手だったんだ。どうも、それがまだ抜けきっていないらしい」

 苦笑する彼女を見て驚く。
 私も小学生の頃厳しい先生のことが苦手だったけれど、そういうことだろうか。

(セリーンも私と同じ普通の女の子だったんだなぁ)

「だから、オルタードが私の意見を聞くとはどうしても思えなくてな」

 ラグが呆れたような溜息を吐く。
 だがリディは諦めなかった。 

「オルタードは今でも厳しいし怖いときもあるけど、でもセリーンさんが言えば少しは考え直すかも。お願いセリーンさん、オルタードを説得してみて!」
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