My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
セリーンは困ったように少し逡巡する様子を見せてから小さく息を吐いた。
「……あまり、期待はしないでくれ」
「ありがとう!」
リディは嬉しそうにセリーンの手を握った。
そんなリディを見て、ふと気になったことを口にする。
「でも、リディはいいの? お兄さんが旅に出ちゃって」
船旅は海賊なら慣れているだろうけれど、本当にあるかどうかもわからないセイレーンの秘境を探す旅なんて、きっと長く帰ってこないんじゃないだろうか。
すると、リディは私の方を見てにっこりと笑った。
「兄貴の夢は私には理解出来ないけど、そもそも兄貴がブルーの頭になったのだって旅に出るためにこの船が欲しかったからだし、そこまでされたら妹としては応援してあげたいじゃない」
でもその笑みは少し寂し気に見えた。