My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
(……そうだよね、ラグは別にセイレーンや歌に興味があるわけじゃない)
ただ、呪いを解くのに必要なだけだ。
「ならなんで?」
「…………」
なかなか答えようとしないラグを横目で見ながら、そういえばラグがこんなふうに歳の近い女の子と話しているのを初めて見る気がした。
(あ、ドナとは少し話してたっけ。でもなんか……新鮮)
リディはラグが見るからに不機嫌そうでも全く怯んだりする様子がない。
流石海賊たちに囲まれて暮らしているだけあって、強い。
「――あ。あなた術士って言ってたものね、もしかしてその関係?」
するとラグは観念したように溜息交じりで頷いた。
「そうなの。見つかるといいわね!」
リディは満面の笑みをラグに向けていた。