My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「船でのことを思い出してみろ。それでなくともカノンには目をつけていたんだろうからな。この上更にあの男が執着しているセイレーンだとバレたらどうなるか……。私だって心配だ」
――相手してもらうんだよ。
あのときの台詞がふいに蘇った。
セリーンが連れて行かれてそれどころじゃなくなりすっかり忘れていたけれど……。
「まぁ、私に言った『頼み』というのも気にはなるが、何にしてもあの男には気を付けた方がいい」
「……う、うん。そうだね」
変な汗が出るのを感じながら頷くと、セリーンは優しく目を細めてぽんぽんと私の頭を撫でた。
「ありがとうセリーン。ラグも、ありがとう」
するとラグはふんと視線を逸らしてしまった。
そういえば、あのときもラグは前に出て私を庇ってくれたのだ。