My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「兄が長旅に出てしまえば、リディアンはひとり残されることになる」
「うん……」
「いつも明るく振舞ってはいるが、きっと寂しいはずだと」
「それで、無理難題吹っ掛けたってわけか」
ラグが呆れたように息を吐く。
「いや、その無理難題にも意味があってな」
小さく苦笑するセリーン。
「兄が嫁を取れば、リディアンに家族が出来ることになる」
「あっ」と思わず声が漏れていた。
「子供が生まれれば更に家族が増える。きっとリディアンの寂しさを埋めてくれるだろうと」
(オルタードさん、そんなことを……)
正直驚いた。本当に全部リディのためだ。
リディもオルタードさんのことは親みたいなものだと言っていたけれど、きっと彼もリディのことを本当の娘のように想っているのだろう。
先ほどリディに向けていた優しい眼差しを思い出す。