My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

 満足げに笑ったリディに私は訊く。

「もしかして、昨日のお店でもリディが料理を作ってるの?」
「仕込みは殆ど私ね」
「やっぱり! すごく美味しかったもん」
「ふふ、ありがとう。今夜も楽しみにしていてね。腕を振るうわ」
「でも、大変な量になりそうだね。あの船に乗っていた人たちがみんな集まって来るんでしょ?」

 あの酒場には店主とリディのふたりしかいないようだった。
 海賊たちの数を思い出しながら訊くとリディは笑って頷いた。

「そうね。でもみんな料理を楽しみにしてくれてるから作り甲斐があるわ。それに、こういう日は町の女たちも大勢手伝いに来てくれるの」
「そうなんだ」

 今夜が楽しみでしょうがないという様子だ。
 きっと今夜は本当にどんちゃん騒ぎになるのだろう。海賊たちの宴を想像しながら口の中のもちもち感を楽しんでいると。

「そういえば、カノンはいつまでその格好してるの?」
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