My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「ん?」

 リディが私の服を指さしていた。

「それ、変装なんでしょ?」

 もちもちの料理を飲み込んで頷く。

「あ、うん」
「もう兄貴にはバレちゃったんだし、女の子の格好に戻ればいいのに。服がないなら私のを貸すわよ?」
「ううん、いいの。この格好動きやすいし結構気に入ってるんだ!」

 慌てて言う。
 ……海賊たちがまだ少し怖いから、とはリディには言えない。
 今夜も海賊たちがたくさん集まる中で頭のグリスノートと話をするつもりなのだ。

(さっきのこともあるし……)

「そう?」
「うん! あ、そうだリディ。2階にもあったけど、その置物みんな可愛いね」

 話を逸らしたくて視界の端に映っていたたくさんの人形や動物の置物に視線を向ける。
 リディもそちらを振り向き「あぁ」と再び笑顔を見せた。

「あれはね、全部兄貴からの贈り物なの」
「お兄さんが?」
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