My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
――あのグリスノートが……?
思わず聞き返すと、そんな私の顔を見てリディは笑った。
「そ。兄貴が船に乗るようになってから毎回のように持ち帰ってきてくれて。ま、全部襲った船から盗ってきたものだけどね」
「そ、そっか」
「それでも嬉しくって、ああして全部並べて飾ってあるの」
リディは懐かしそうな眼で人形たち見つめた。
「……リディは、船には乗らないの?」
ふいに口から出た疑問だった。
でもリディはきょとんとした顔で私を見てからおかしそうに笑った。
「え?」
「ふふっ、小さな頃はね、私も乗りたい、兄貴と一緒に行きたいってせがんだこともあったけど。――船に女は乗ってはいけないって決まりがあるの」