My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
19.海賊の宴
「船に女は乗ってはいけないって決まりがあるの」
「そうなの?」
「昔からそういうものだ」
答えてくれたのはもう料理を食べ終えたらしいセリーンだった。見ればラグももうほとんど食べ終えていて、私は止まっていた手を再び動かし始めた。
「海賊船だけじゃない、漁船や商船なども確かそうだったはずだ。勿論、私たちのような客は別だがな」
確かにグリスノートの船にも、私たちがヴァロール港から乗ってきた船にも女性の乗組員はいなかった。やはり海上での生活は体力勝負だからだろうか。
と、リディが料理を口に運びながらその理由を淡々と話してくれた。
「色々と理由はあるけど、やっぱり長い間閉鎖的な空間で生活するわけだから、余計ないざこざを避けるためっていうのが大きいの」
(余計ないざこざ……?)