My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「ところでずっと気になっていたのだが、このイディルはクレドヴァロールなのか?」
今度はセリーンがリディに訊ねた。
そういえば結局ここがどういう場所なのか聞いていない。
「一応はね、でもクレドヴァロールでこのイディルを知っている人なんてほとんどいないんじゃないかしら」
どういうことだろうか……?
料理を食べ終えたらしいラグもリディの話に耳を傾けていた。
「ここは険しい岩山に囲まれているから陸から人が入って来ることはまずないし、海からもこのあたりはリーフが複雑に入り組んでいて慣れていないと危険だから近づく船はほとんどないし、ごくたま~にあなたたちみたいに迷いこむ人がいるくらい?」
「そうか。だから町の名に聞き覚えがなかったのか。海賊の隠れ蓑にはまさにうってつけの場所なわけだな」
「そういうこと」
にっこりと笑うリディ。