My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「私はお店に行くけど、あなたたちは夜までどうする?」
リディに問われた私たちは、一緒にお店に行って宴の準備を手伝うことにした。
日が沈むまでまだ大分時間がある。リディは部屋で休んでいてもいいと言ってくれたが、人手は多い方がいいだろう。
お店に入ると昨夜もいた上品な髭の店主――テッドさんというらしい――は初めて見る大きなラグに警戒を露わにしたが、リディがあっけらかんと昨日の少年と同一人物だと説明。テッドさんは目を丸くしていたが、セリーンがオルタードさんの古い知り合いだと聞くとそこでやっと警戒を解いてくれたようだった。
セリーンは嬉々として厨房に入り、ラグは勿論端から手伝う気などさらさらなく先ほどから店のテーブルでひとり寝こけている。といって私も厨房では逆に邪魔になってしまう自信があったので隅っこの方で貝や野菜を洗うなど小さな子供でも出来そうな簡単な作業ばかり手伝っていた。