My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
日が傾くにつれて手伝いに訪れる女性たちが増えてきた。すでに私たちの噂は届いていたようで皆気さくに接してくれた。やはり“長のお墨付き”という称号はこの町の人たちにとって何より絶対的な信頼に繋がるのだろう。
「長の元主とはねぇ。てっきりグリスノートの嫁さんに来てくれたんだと思ったよ」
恰幅の良い40代ほどの女性が大きな声で笑いながらセリーンに話しかけるのが聞こえてきた。
「ハハ、少し歳が離れ過ぎているな」
「そんなことないよ、まだ若いじゃないか。どうだい。うちの頭の嫁に来ちゃくれないかい」
「すまないが、私はこの傭兵稼業をやめるつもりはないのでな」
セリーンが苦笑しながら答えるのを聞いて、ふいに頭に浮かんだのはアルさんだった。
(そういえば、アルさんどうしているだろう)