My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「下手にこの部屋から出ない方がいいかもしれないな」
「う、うん」
セリーンがドアに鍵を掛けるのを見て、私もいつでも動けるよう急いで髪を結い靴を履いてベッドから立ち上がった。
海賊なんて本や映画の中でしか見たことがないが、大きな剣を振り回し乗組員たちを殺し金品を奪っていく残虐非道な荒くれ者たちというイメージが強い。
「皆、船長さんとか大丈夫かな」
「言ったろう。おそらくは1stが何人か同乗しているはず」
そのときセリーンが再びドアに視線を向けた。直後、ドンっとドアが叩かれて飛び上がりそうになった。だが。
「俺だ、開けろ」
ラグの声にほっと胸を撫で下ろす。
セリーンが鍵を開けるとすぐに不機嫌そうな彼と、一緒にブゥがふよふよと部屋に入ってきた。
「くそ、厄介なことになりやがった」