My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
セリーンがそんな私を心配そうに見つめていて首を横に振る。
「ううん、ちょっと立ちくらみ。大丈夫だよ。グリスノートのとこ行かなきゃ~」
私が笑顔で返すとセリーンが訝しげに眉を潜めた。
「おい、ちょっと待て。カノンがおかしい」
「あ?」
こちらを振り向いたラグが私を見てなんだか面白い顔をしている。
「ふふっ、なんでもないよ? 早くグリスノートと話しに行こ~」
だってこんなに気分が良いのだ。今ならきっとなんでもうまくいく気がする。
なのに、ラグとセリーンは酷く慌てた様子だ。
「まさか、これ酒じゃねーのか!?」
「……そのまさかだ。少しだが酒が入っているな」
セリーンが私の飲みかけのジュースを一口飲んで溜息交じりに答えた。
「ええ~? でもリディはジュースって言ってたよ? すっごく美味しいから~さっきおかわり頼んじゃった~」
へへと私が笑いながら言うとラグが額を押さえて大きな溜め息を吐いた。