My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「カノンは笑い上戸か」
「じょーご? でも全然、ほんと大丈夫だよ~? ほらぁ、早くグリスノートのとこ行かないと、エルネストさんのこととか聞かなきゃ」
「どう見ても大丈夫じゃねぇだろ!」
ラグがとてもイライラしている。セリーンも困った様子だ。
大丈夫だと言っているのに、ふたりともどうしたというのだろう。
「貴様だけ行……くわけにもいかないな」
「ふたりが行かないのなら私が話してくるよ~。楽譜のこともエルネストさんのことも聞きたいもん」
「ちょっと待て!」
グリスノートのいるテーブルの方へ歩き出したところを腕を掴まれ引き戻される。
「痛いっ」
「わ、悪ィ。~~っ、わかった、行くから。だが絶対に余計なことは言うなよ。わかったな」
「はーい!」
手を上げてしっかりと返事をしたのに、なぜかまたラグとセリーンは大きな溜息をついた。