My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「ヒュ~~っ!」
「何が失敗に終わっただよ頭ぁ! 大成功じゃねえか!!」
「おめでとー頭ぁ!」
「今夜は祝宴だー!!」
「ち、違います! 私は」
そう叫んでも歓声に掻き消えてしまって誰も気に留めてくれない。
先ほどの女の子もエスノさんと一緒に嬉しそうにパチパチと手を叩いている。
ラグとセリーン、リディの姿もここからでは見えなくて、とにかく立ち上がろうとしたときだ。
「セイレーンの話が聞きてぇなら、今だけ俺に合わせろ」
「え?」
耳元で低く囁かれて私はグリスノートを見上げる。その肩に大人しく乗っているグレイスが私を見て可愛らしく首を傾げていた。
彼は私を支えるようにして一緒に立ち上がると、皆に向かって面倒そうに話し始めた。