My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
21.金のセイレーンの伝説
――ガチャリ。
そんな金属音で、私の意識は浮上した。
身体が揺れている。誰かに運ばれている……?
(……誰? ラグ?)
とにかく頭が重くて、目を開けるのも億劫だ。
揺れ方と足音が変わって階段を上っているのだとわかった。
次いで、ギィっという多分ドアが開く音。どこかの部屋に入ったみたいだ。
リディの家、だろうか。
優しくベッドに下ろされたのがわかって、このまま眠っていいのだとほっとする。
せめて眠る前に一言、ここまで運んでもらったお礼を言わなきゃとなんとか重い目蓋を持ち上げて――。
「ふん、目が覚めたかよ」
視界に入った予想外の人物に、私は一気に覚醒した。
「――グリスノート!?」