My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「ここ使え。こっちもまだあんたに訊きてぇことがあるんだ」
「カノン」
セリーンにも優しく促され、私は頷いた。
「ありがとうございます」
お礼を言って私たちはベッドの方に移動し、グリスノートはグレイスのいる窓際に寄り掛かった。
――幽霊とは少し違うな。でも……少し正解。
――僕の本体を助けてもらいたいんだ。今ある場所に幽閉されていてね。
彼の綺麗な笑顔が頭をよぎる。
今まで揃わなかったパズルのピースが一気にはまって、スッキリするはずなのに……なんだか吐き気がした。
「だからよ、あんたらが会ったっていうその金髪の男は間違いなく、どこぞに封印されている金のセイレーンだってことだ。こりゃ鳥肌もんだぜ!」
興奮するようにグリスノートが大声を張り上げた。
「……その封印された場所ってのは、わからねぇか」
ラグが訊ねると、グリスノートは待ってましたとばかりにこちらを指さした。
「そこで、“セイレーンの秘境”よ」
「!」
また私たちは一斉に息をのむ。
「そう。今でもそこでは金のセイレーンの復活を待ち望み、セイレーンたちが歌を捧げてるって話だ」