My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

22.セイレーンの秘境


 “セイレーンの秘境”――そこに、エルネストさんがいる。
 ぞくりと、全身が粟立つ感覚。

「だがな、そのセイレーンの秘境がどこにあるかが全くわからねぇんだよ!」

 悔し気に続けるグリスノート。

「漸くブルーの頭になって船が手に入ったってのに、今度は嫁だなんだと……くそっ」

 と、その視線が私を捉えた。

「あんた、マジで俺の嫁になって子供産んじゃくれねぇか?」
「ムリです!!」

 大声できっぱり断るとグリスノートがちっと舌打ちをした。

(この人、どこまで本気なんだろう……)

 大して話したこともないのに、そんな夢のためだけに嫁になれだなんて冗談じゃない。

(さっきも危うく、キ……キスされそうになったし、やっぱり気をつけなきゃ)

 ――でも、セイレーンの秘境に行きたいという気持ちはこちらも同じだ。
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