My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「エルネストさん、もうすぐ会えるって言ってたよね?」
ベッドの足元にいるラグに視線を向けると、グリスノートを睨むように見ていた彼は我に返るようにこちらを見下ろした。
「あ、あぁ」
「だから多分、この辺りなのは確かなんだよ」
もどかしい。
あと少しでたどり着けそうなのに……。
「なんで、あんたなんだろうな」
「え?」
グリスノートがグレイスの嘴の下を優しく撫でてやりながら、私を見た。
「金のセイレーンが、あんたに助けて欲しいって言ったんだろ?」
ぎくりとする。グリスノートの探るような視線が私を刺す。
「なんで、なんも出来なさそうなあんたに頼んだんだろうな」
「わ、私も、それがわからなくて……だから気になるんです」
そう誤魔化すと、グリスノートは「ふーん」と首を傾げた。